ビャクシン



 1939年(昭和14年)9月7日に国天然記念物に指定され、樹齢750年と指定理由書に記されており、現在では850年ほどになる。城願寺の前
進である持仏堂をこの地に建てた土肥実平の手植えと伝わる樹である。
 1180年(治承4年)8月23日の源 頼朝や土肥実平らの血気盛んな武将達の鎌倉への出陣を見守った樹であり、その日の「石橋山合戦」から続く長い戦いの日々を送った実平は、源平合戦で亡くなった一族郎党や兵士の冥福と源氏や土肥氏の武運長久を祈るため、持仏堂を「成願寺」にと拡張してからも、自分の植えた柏槙の保護を子孫に命じて、以来この地の人々により護られて来た。
 ビャクシンは、別名イブキと呼ばれるヒノキ樹木で、宮城から沖縄まで広く分布しており、特に曹洞宗では北鎌倉の建長寺などに巨木が多い。中でもこの木は樹勢良く、ねじれて伸びた幹の姿は力強く、美しく、全国的にもまれで貴重であり、神奈川県では最も大きい木で、昭和59年『かながわの名木百選』に選ばれる。日本樹木医学会診断では推定樹齢820年とされ、樹高20m 目通り7mとある。